
「推しのインプレッション数を予測」SNSのプロはプライベートでどこを見ているのか

- シグナルバナナ編集部
自分では当たり前にやってきたことが、ビジネスにおける強みになることもあります。プライベートでもマーケティング視点を持ってSNSを利用していたことが、SNSディレクターの仕事にもプラスに働いたという湯野川里美さん。普段はどんなことを意識してSNSに向き合っているのか聞いてみました。
プライベートでは合計16アカウントを使い分け
――プライベートでは何アカウントくらい運用しているんですか?
Twitterは11アカウントあって、インスタは3つ、Facebookは2つですね。一番使っているのがTwitterで、それ以外はそこまででもないです。
- 湯野川里美 | Satomi Yunokawa
- SNSディレクター/ギャラリー勤務を経て、2018年1月にシグナルへ入社。
――そんなに! どうしてそこまでSNSを活用するようになったんでしょう?
私が好きなK-POPの情報がやりとりされる場が、たまたまSNSだったからです。チケットやグッズのやりとりをしたり、写真が出回るのがTwitterなんですよ。なので、特にSNSが好きとか、SNSを使って何か大きく発信しようという気持ちは全然なくて。
アカウント数が多いのは、「これはチケットをやりとりするアカウント」とか、意図的に用途を分けているからですね。
――K-POPの情報交換が目的だったんですね。自分からの発信は?
自分からツイートするのは推しがかわいいって話題とか、韓国の情勢について調べたこととかですね。ここ2年間くらいはそこまで投稿してないんですが、2014年に始めたアカウントで既に7万ツイートくらいしているので、ヘビーユーザーではあると思います。
推しが売れるかどうか、インプレッション数を予測
――SNSでは、どんなところを見ているんですか?
一番は「推しの投稿がどのくらいの人に見られているのか?」です。やっぱり推しが売れるかどうかは気になるところなので。K-POPアイドル本人や事務所の投稿を見て、このアカウントにはフォロワーが何人いるからこのくらいインプレッションがあるだろうなということを予想しています。
――それってまさにマーケティングの視点ですよね。SNSの仕事をする前からそういう視点で?
そうですね、シグナルに入社する前から。期間としては人より長くSNSをウォッチしていると思いますし、そういう意味での肌感覚は持ってると思います。もちろん企業アカウントと芸能人アカウントでは性質が違うんですけど、その違いに対する理解も、もともとあったように思います。
――プライベートでもそういう視点から見る人って、そう多くないのでは。
日頃から感覚的に物事を捉えずに、クリティカルに考えようと思っているからかもれないですね。大学で受けたクリティカルシンキングの授業の中で、「本質を捉えなければ自分が見ているものの正誤はわからない」という話を聞き、物事の本質を捉える意識を持つようにしています。
たとえば、数字もただ「2000リツイート」とかって値だけで判断しないようにしていて、絶対値に対するプラスかマイナスの位置感覚というか、「このアカウントなら2000リツイートは多いけど、別の性質のこういうアカウントだと2000は少ないほう」というところまで考えるようにしているんです。
多くの投稿を見てきたことが仕事に活きている
――SNSディレクターという役割上、数字を見る力以外に、コンテンツの良し悪しを判断する力が求められますよね。どのように養っていますか?
単純に、いろんなアカウントや投稿をいっぱい見ているだけなんですよ。もしリツイート数が多い投稿があれば、なぜその投稿が多数の人にリツイートされたのか仮説を立てながら見るとか。
もちろん炎上例もたくさん見ています。炎上させないためにしているのは、これまで見てきた知識を活かすのと、脳内会議にさまざまな属性の人を登場させることです。SNS上には多くの人がいるので、自分の身近に「この投稿すごく嫌」って感じる人が1人いるとしたら、嫌悪感を持つ人がたぶん100万人くらいいるんですよ。
幸いにも同じチームにいろいろなルーツを持つ人がいるので、勝手に脳内会議に出席してもらったり、気になれば直接意見を聞いたりして参考にさせてもらってます。
――この仕事をしていて、楽しいと感じるのはどんなところですか?
SNS運用で予想したとおりの数字が出た時は楽しいですし、数字に基づいてクライアントが判断するために必要な材料を提供できるのも、楽しい部分だと思います。
あと、これは仕事内容に関してではないんですけど、チームメンバーに楽しい人が多いんですよ。プライベートの友達が少ないので、このチームで働けてることでメンバーから人生の潤いを与えてもらっていますね。
――ありがとうございました!