
トレンドを研究してより良い運用を目指す、SNSディレクターの探求心に迫る

- シグナルバナナ編集部
シグナルバナナでSNSのトレンドレポートを発信しているSNSディレクターの奥原祐太さん。元音楽家で興味を持ったものをとことん突き詰める奥原さんに、その仕事姿勢や、日々トレンドを研究して顧客を支援する立場から見た「より良いSNS運用」についての考えを聞きました。
マーケティングは人間の業や哲学的な要素が強いから好き
――奥原さんの経歴に「音楽家」とありますが、これは?
30歳までは音楽制作をしていたんですよ。自分でレーベルを立ち上げて、作詞作曲やレコーディングは1人でやり、How to count one to tenというバンドを組んで各地でライブをやって。海外のバンドから声をかけてもらってツアーをしたり、映画やCM向けに楽曲提供をしたりもしていました。
- 奥原祐太 | Yuta Okuhara
- SNSディレクター/音楽家、広告代理店、LINEを経て2018年4月にシグナルへ入社。
――どんな音楽をやっていたんですか?
インストが中心ですね。自分が聴きたい音楽が世の中になかったので、作ろうと。僕はブリコラージュという概念を大切にしているんですが、ブリコラージュとはつまり、そこにあるものを集めて自分でなんとか作るということ。メジャーコードしか使わないとか、エフェクターは使わないとか、制約を設けてその中で遊ぶという試みをしていました。
――音楽活動もそうですが、奥原さんはSNSを活用したマーケティングについて考察したり、プライベートでは料理や盆栽に凝ったりと、さまざまなものに興味を持って追求するタイプなのかなと感じます。
たぶん、追求する対象はなんでもいいんですよ。マーケティングは人間の業とか哲学的な要素が強いから好きなんですけど、仮にもともと好きじゃなかったものであっても、自分の好きなものとの共通項を意識的に探していけば興味を持つことができます。
で、掘り下げるときは、ルールを決めてその範囲でより深くまで掘り下げるんです。盆栽だったら松しか育てないとか、枝の曲げ方を全部一緒にするとか。そうでないと広く浅くになっちゃいますから。
PR支援の立場から考える「より良いSNS運用」とは
――LINEではニュースアカウントの運用に携わっていたそうですね。自社でSNSを運用する立場と今のような顧客支援の立場、2つの違いをどう捉えていますか?
支援なので、自社の意向ではなく、クライアントの意向をどう叶えるかを常に考えています。ここが最も違う点ですね。より良いSNS運用をするために、常にトレンドを追って知識を蓄積し、状況に応じた運用方針を提案しています。
――奥原さんにとっての「より良いSNS運用」とは?
バズるとか、フォロワー数をただ増やすということではなく、しっかり自社のメッセージを自社のカラーで伝える“ブレない運用”ですね。瞬間最大風速的なものにとらわれてブランドと関係のないところでバズっても、意味がないですから。
そもそも誤解されがちなんですが、SNS運用が上手な企業はSNS単体ではなく、他のメディアなども含めたPR施策全体を俯瞰してコミュニケーションを設計しています。傍から見るとSNS施策だけでバズっているように見えても、実は違うんですよ。
もちろん運よく時代の流れに合致してバズるケースもあって、それ自体を否定するつもりはないですが、最初から運要素を狙っていくのはPRの観点で言えば違うかなと思っています。
今後はソーシャルリスニングから新たな発見をしたい
――SNSのディレクションをするために必要なことを教えてください。
マーケティング全般の知識ですね。SNSだけではなく、広告、若者の流行、消費者行動、日本経済や世界情勢などを踏まえた上で、PR施策の中でSNSにおいてはどうすべきかを考えなければいけないと思います。
――そうした幅広い知識を得るために実践していることは?
Twitterを入口に、識者のブログや紹介されている本を読むことが多いですね。Webよりも本のほうが明らかに情報量が多いので、知識を深めるにはやはり読書です。自分で本を選ぶことはほとんどなく、信頼する人がおすすめしている本を中心に読んでいます。
――最後に、今後挑戦していきたいことを教えてください。
今はソーシャルリスニングに興味があります。SNSから得たデータを分析することで、一見関連性のなさそうな項目から、何かしら消費者行動にまつわるヒントが浮かび上がってくるかもしれません。そうした新たな発見を、PR施策に活かしていければと思っています。
――ありがとうございました!