
「人目を気にしすぎる」僕が、なぜ対人スキルを要するコンサルタントを続けられるのか
- 山上高広 | Takahiro Yamagami
- 株式会社シグナル コンサルタント
こんにちは。コンサルタントの山上です。
先日、「山上さんは“気にしい”だと自分で言うのに、どうしてコンサルタントの仕事ができるんですか?」と同僚に聞かれ、改めて自分のことを振り返ってみました。きっと世の中には、対人スキルが求められる仕事につきながらも周囲の目を気にし過ぎてしまう人が、僕以外にもいるでしょう。僕の場合はどうしているのか、お伝えしたいと思います。
電話が苦手で、アポがうまく獲得できなかった過去
コンサルタントという職業は営業の要素が強いので、もともと対人スキルが高い人が就くものだと思われているかもしれません。でも僕はというと、すごく人の目を気にしてしまうほうで、初対面の人と話すのが苦手なタイプ。交流会なんて行こうものなら、出会った人と何を話せばよいのかわからず、ただただ苦しい時間を過ごすことになります。
そんな気質ですから、34歳で初めて新規営業の仕事をした時(シグナル入社前のことです)には、営業電話をかけるだけでも緊張してしまい、全然うまく話せませんでした。相手の反応はもちろん、隣の席の人が自分のトークを聞いてどう思うかまで考え、さらに緊張を高めてしまう始末……。当然、アポの獲得数は伸びないし、精神にもつらさが増す一方でした。
ある本をきっかけに営業の考え方が変わった
ではなぜ、39歳になった今もコンサルタントとして営業活動ができているかというと、ある本との出会いをきっかけに、営業に対する考え方を変えたからです。その本とは、質問型営業®を提唱する青木毅さんの『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』。
質問型営業®とは、その名の通り、お客様に質問をして相手に話してもらう営業スタイルのこと。たとえば、お客様を訪問したら、「なぜ今日はお時間をとってくれたんですか?」と聞き、そこから話を発展させていくのです。
僕が営業電話に苦手意識を持っていたのは、「相手に嫌われるかもしれない」と感じていたから。でも、相手も何らかのビジネス課題を抱えていて、役に立つ情報なら欲しいものです。であれば、どんどん質問をして相手の課題をつかみ、情報を提供することで一緒に解決していけばいい。本を読み、そう発想を転換できたおかげで、売り込むのではなくお客様と悩みを共有する意識が持て、その結果として仕事がいただけるようになりました。
“気にしい”は仕事にマイナスにならない
こんな風に書くと、1冊の本との出会いが僕の“気にしい”な性格を変え、すばらしい営業マンへと成長させてくれたように見えてしまうかもしれませんね。もちろん、そんなに簡単にはいきません。今だって、(ちょっと虚勢は張っていますが)他人からちょっと強く言われると、すぐにしゅんとしてしまいます。周囲からどう思われているか気にしてしまうのは、相変わらずです。
それでも僕が言いたいのは、“気にしい”な性格であっても、必ずしも仕事にマイナスとはならないということ。むしろ、こんな気質だからこそ相手のことをよく考え、それが相手の課題を引き出す質問のとっかかりとなり、結果として仕事にプラスに働いているのではないかと思うんです。
対人の仕事に向かないなんてことは、きっとない
これって、営業に限った話じゃないと思います。たとえば僕は以前、地方自治体の広報を担当していましたが、広報の仕事も同じです。問い合わせてきてくれた記者はどんな立場の人で、どんな記事・映像を作りたいのか? “気にしい”で、相手に嫌われたくないからこそ一生懸命考え、相手の話をしっかり聞いていった結果、良い関係を築くことができていたように思います。
今も、「こんな性格で良かった!」なんて開き直る気にはなれませんが、そう考えると悪いことばかりじゃありません。もし、これを読んでくれたあなたが“気にしい”なタイプだとしても、きっと対人の仕事に向いてないなんてことはないのだと思います。