SPECIAL2018.11.20 (Tue)

「TikTok」はなぜ人気を獲得したか? 2018年度上期のSNSトレンドレポート

okuhara.png

  • 奥原祐太 | Yuta Okuhara
  • 株式会社シグナル SNSディレクター

こんにちは。SNSディレクターの奥原です。
2018年上期も、SNSの各プラットフォームは、仕様変更や新機能の追加など目まぐるしい変化を見せました。こうした動きに合わせ、SNS施策の方向性や企画のアップデートに追われた企業も少なくなかったのではないでしょうか。上期のトレンドを振り返るとともに、下期の動向を予測したいと思います。

2018年度上期における主要SNSの動向

MAU(月間アクティブユーザー数)が全世界で10億人を突破し、Instagramの躍進が目立った上期。ショッピング機能「Shop Now」のリリースや、動画アプリ「IGTV」のローンチも注目を浴びました。その他にはどのような動きがあったのか、アカウント運用の観点から解説します。

Facebook

CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、2018年1月に発表したアルゴリズムの変更により、企業アカウントのリーチ率が「従来の約5%から約4%へと減少するだろう」と発言しています。実際、これ以降、私が担当しているアカウントでもオーガニックリーチが明らかに伸びなくなってきました。「Facebookで過ごす時間を有益にする」ことが目的と言われていますが、ユーザーにリーチするには広告を使用した投稿を推奨する、という見方もできます。

Instagram

ストーリーズのDAU(1日当たりアクティブユーザー数)が4億人を突破し、好調のInstagram。ショッピング機能「Shop Now」をリリースし、ECとの連携を強化しました。さらに、「IGTV」をローンチさせて動画コンテンツにますます力を入れています。

投稿のトレンドも変化しています。2017年には「インスタ映え」が流行語大賞となりましたが、もはや「インスタ映えは古い(=当然)」と言われるように。最近では、それに加えてクスッと笑える要素が求められています。また、ストーリーズを閲覧するユーザーへの訴求として、冒頭3秒でブランドを認知させる動画コンテンツもトレンドになりました。

Twitter

2017年第4四半期以降、黒字に転換したTwitter。国内MAUは4,000万人から4,500万人へと増加し、他人との共感を求める日本人になくてはならないプラットフォームとなっています。9月に発生した北海道胆振東部地震でも、情報収集ツールとして活躍しました。

日本では動画広告が好調。昨年から引き続き、「インスタントウィンキャンペーン」を使用した動画広告が主流となっており、多くの企業に利用されています。

その他

中国発の口パク動画SNS「TikTok」の人気は見逃せません。自分でネタを用意しなくてよいという投稿ハードルの低さ、動画加工の手軽さから、日本でも小中高生を中心に広がりを見せています。MAUは全世界ですでに1億人を突破。「TikTok」出身のタレントも輩出しており、次世代のSNSとの呼び声が高いプラットフォームです。投稿のエンゲージメントも非常に高いことから、PRに使用する企業も増えています。

主要SNSの国内月間ユーザ数比較

sns_graph_1811

Twitterは2017年10月に、国内MAUが4500万人を突破したことを発表。全世界で3億3,500万人いるユーザーのうち、約13%を日本人が占めていることになります。FacebookやInstagramと比較してみても、日本人がいかにTwitter好きかがわかります。

Instagramは、11月1日開催のイベント「Instagram Day Tokyo 2018」にて、国内MAUが2900万人を突破したと発表しました。従来の若者人気だけでなく40代の利用者が増加しているとも言われており、いよいよ幅広い世代に認知されてきています。

Facebookは、2017年9月に国内MAUを2800万人と発表して以降、更新はありません。ケンブリッジ・アナリティカへの情報流出問題など課題を抱えながらも、全世界で22億3000万人に利用されており、まだまだメインプラットフォームとして揺るがない地位を保っています。

2018年上期注目の投稿

4月に一般ユーザーが投稿した、キッコーマンの豆乳を凍らせたアイスを紹介するツイートが、Twitter上で話題になりました。キッコーマン豆乳公式アカウントは、この情報を即座にキャッチすると、1週間後には豆乳を16種類凍らせたGIF動画を投稿。さらには豆乳アイスを使ったキャンペーンへと発展させました。そのほか、「豆乳アイス情報局」というサイトを制作し、消費者の疑問に答える受け皿も用意しています。

企業がSNSの話題にうまく乗るためには、タイムリーかつ柔軟な対応が求められます。会社によっては、制約が多くて思うような運用ができない場合もあるかもしれません。ですが、熱の冷めないうちにユーザーがよろこぶ対応ができれば、さらなる話題の広まりや、定着化が期待できます。普段の運用の延長線上でできることはないか、ユーザー目線で考えてみるとよいでしょう。

本件の場合、うまく話題に乗れたこともあり、アイスの需要が高まる夏にかけ、繰り返しメディアに取り上げられる結果となりました。

主要SNSの機能追加・更新情報

Facebook

2018年の目標としてマーク・ザッカーバーグ氏が発表した通り、グループ機能の強化に注力しています。同社は、ヘイトスピーチで溢れるニュースフィードを制御しつつ、クローズドでコミュニケーションが取れるグループ機能の方が、快適なソーシャルライフを送れるとしています。注目したいのは、ユーザーの追跡を可能にするグループ用ピクセルの導入です。これにより、ユーザーがグループ内の投稿をクリックしてからコンバージョンするまでの行動を把握できるようになります。

また、5月に開催された開発者カンファレンス「F8」にて、出会い系機能「Facebook Dating」の追加が発表されました。9月よりコロンビアでテスト運用が開始されていますが、日本への導入時期は明かされていません。

Instagram

ストーリーズの「ショッピング機能」や、「IGTV」「動画へのタグ付け」「GIFスタンプ」など、動画コンテンツの強化を図っています。また、12月には、「Instagram API」の仕様変更が予定されています。ハッシュタグの収集ができなくなる変更も含まれており、データを取得するためには新しい「Instagram Graph API」への変更が求められています。

他社サービスへの連携も増えています。6月には「Shopify」との連携が開始され、美しい世界観から生まれる投稿群と購買行動を結びつけた新たな市場を形成しつつあります。また、「ぐるなび」との連携によって、飲食店の予約が可能となりました。今後、美容院の予約やチケット購入など、Instagram内で購入まで完結できるコンテンツが増えていくと思われます。

Twitter

タイムラインをリアルタイムに取得して表示する「UserStream API」の停止、偽アカウントの凍結、スマホアプリでの「モーメント」作成機能終了のほか、タイムラインの時系列表示の復活、文字数を140字から280字に増やす施策など、マイナーアップデートを繰り返してユーザビリティを高めようとしています。

また9月には、ヘイトスピーチへの取り組み強化策として、「人種、民族、国籍、性的指向、性別、性自認、信仰する宗教、年齢、身体障害、重病、職業、政治理念、地域、社会的慣習」についての差別を新たに規制するポリシー変更を行っています。

2018年下期は、「動画を受動的に見る」スタイルがトレンドに

上期に「TikTok」が人気を獲得したように、「動画をただ受動的に見るだけ」というコンテンツ消費のニーズが高まっています。その背景には、溢れかえった情報を自身で取捨選択するのが面倒になったユーザーの存在があります。

かつては、国民の多くが受動的に流行のテレビ番組を見て、話題を共有していました。こうした時代に近いことが、SNSの世界でも起ころうとしています。トレンドとは、アップデートしながらも螺旋を描くようにループしていくもの。進化し続けるSNSにおいても、その点は意識してマーケティングを行う必要がありそうです。

構成:福田さや香