
相談メシ!第3回「自分がいなくても機能するチームづくりができているか不安です」

- 松本圭司 | Keiji Matsumoto
- 株式会社シグナル CTO
こんにちは。シグナルCTOの松本です。
ランチをしながら社員の悩みをズバッと解決する『相談メシ!』第3回目です!
今回の相談者は、プロモート部のマネージャー・磯貝さん。
後輩を育てている人なら一度はその教育の難しさに直面したことがあると思うのですが、彼女もその1人。「部下をしっかりマネージメントできているのか」「自分がいなくてもチームはきちんと機能するのだろうか」など、漠然とした不安をたくさん抱えているようです――。
マネージャーとしてチームをきちんと管理できているか不安です
今回のお店は、赤坂駅のすぐそばにある「すみやき料理 はやし」。ここのランチは、“日本一”と掲げる親子丼950円(税込)のみ。見ての通り玉子がふわふわとろとろで、ボリューム満点! 味もさることながら、古民家風の情緒溢れるいい雰囲気で、ランチの時間はひっきりなしにお客さんが来店します。
松本:なんか色々悩んでいるようですけど……、早速話聞いちゃっていいですか?
磯貝:はい。相談ごとというよりは漠然とした不安がいくつかある感じなんですけど……、なかでも一番悩んでいるのはマネージメント業務のことです。
結婚してから、いずれ子どもを持ち、産休や育休などで会社を離れる可能性を考えるようになったのですが、マネージャーとして、自分がいなくなった後のチーム体制を十分に整えられていないんじゃないかっていう不安が大きくて。
松本:なるほど。急に仕事に穴あけちゃったら、その後チームはどうなるんだろう? っていう心配ね。
磯貝:そうです。所属部署では前例がないので、どうすればいいのかよくわからなくて……。
松本:ちょっと冷たい言い方かもしれないけど、ひと1人いなくなっても多分会社は変わらないんですよ。マネージャーが1人いなくなっただけで業務が回らなくなってしまうようなところは、もともと会社として十分に機能していないわけです。シグナルではそんなことは考えにくい。例えば僕、昨日まで2日間家庭の事情で休みを取っていたんですけど、それでチームの仕事が全然成り立たなかったなんてことはないです。
少し思い詰めているように見えるけど、そんなに深刻に考えることではないんじゃないかな。もしかして、「チームには自分がいなきゃダメだ!」ってことを自分の存在意義にしたいって気持ちもあるんじゃない? 失礼な言い方かもしれないですけど。
磯貝:それもあると思います。でも、いずれにしても、自分がいなくなっても後輩が最大限の力を発揮できるような十分な体制をきちんと整えたいなって。いなくなっても変わらないっていうのは松本さんのおっしゃる通りなんですけど、その後のことを何も考えずにただ離れるのは本望ではないというか。
松本:まぁそうですよね。でも磯貝さん、それはもうできてるんじゃない? メンバーに慕われているし、彼女たちがやりがいをもって業務をこなしているように見受けられることからも、体制はきちんと整っているように思いますよ。
磯貝:そうですか? うれしいです。でも……なんていうか、自分のなかで“十分にやれていない感”がすごくあるんですよね。何でだろう……。
松本:悩みっていうのは、悩んでいる時点で実はもう問題提起ができていて、あとは改善するしかないっていう状態になっているんです。つまり問題点を見つけた時点でほぼその問題は解決されているようなものなんですよ。だから、磯貝さんも自分で「じゃあ、どうすればいいのか」っていう解決策は見えてるんじゃないの? あとは行動するだけでいいと思うんだけど。
磯貝:そうなんです! もっと部下の仕事ぶりをチェックしたり、みんなが働きやすい環境を整えたり、チーム全体をマネージメントすることに力をいれなきゃならないんですけど、時間に余裕がなくてなかなか行動に移せていないんです……。
松本:時間に余裕がない理由は何ですか?
磯貝:おそらく、自分が主導する案件をいくつか持っているからだと思います。部下に仕事を振り分けるところまで手が回っていない自分が悪いんですけど……。
松本:そういう案件を、新人さんとかに担当してもらえば? もちろん全部1人に任せるんじゃなくて、磯貝さんが後ろについてフォローする感じで。
磯貝:うーん。そうですね。任せるとはいえ、私が後ろに付いていることで本人に担当者としての自覚が十分に生まれないんじゃないかっていう懸念はありますけどね……。
松本:なるほどね。それでいうと、スタッフにきちんと自覚を持たせる簡単な方法が1つありますよ。クライアントに直接会わせるってことなんだけど。
担当者としてクライアントに紹介し、先方から「お願いします」って面と向かって言われたら、新人とはいえ社会人ならば、「私、任されてる。やらなきゃいけないんだ!」って意識は芽生えると思うんですよね。
磯貝:確かに。打ち合わせに新人と私とで一緒に行って、業務をサポートし、そのスタッフが慣れてきたら、徐々に自分の仕事を譲渡していく……。もしそれがなかなかうまくいかなかったら、今度はどうすればいいですか?
松本:スタッフのレベルが問題で発生するケースだと思うんですけど、そのスタッフが「ティーチング」を必要とするレベルか「コーチング」で十分なレベルかという見極めも必要かな。
上手くいかない場合はティーチングレベルのメンバーであって、一から十まで教えてあげることが必要なケースなんじゃないかと思うんです。このレベルのスタッフを担当にするとマネージャーの負荷は大きくなります。業務レベルを新人だから落としていいという話ではないので、場合によっては担当を自分に戻して、新人を自分のサポートに戻す必要もあると思います。
担当という役から外されることで、本人も「何がダメだったんだろう」って一旦立ち止まって反省できて、成長すると思うんですよ。もちろん、外す際はきちんと1対1で話し合って、担当から離れてもらう理由をきちんと伝えることは必要だけどね。
松本:重要なのは責任を感じさせ、モチベーションを上げること。仕事をこなせるレベルでないなら背中を見せて、個人の基礎能力を積み上げる「ティーチング」に切り替えるべきかなと。
小さな自信を積ませるために、馬の合いそうなクライアントに切り替えて自信を付けさせるのもありかもしれませんね。
磯貝:なるほど。確かにそんなふうに能力を見極めるってことも大事ですね。
松本:正直な話、僕も全ての部下の能力を伸ばし切れているかといえば、力不足を感じるときも多々ありますけどね。ただ僕が思うに、皆に対して同じ対応で全員が伸びるわけでもなく、人それぞれの得意・不得意をみて、その人に合った業務を割り振っていくことも重要かなと。そうすることで、皆が楽しくやりがいをもって業務に従事してくれるんじゃないかなと、現状勝手に思っている訳でして。
それでも能力が出しきれない人に対しては、マネージャーにとってもその人にとっても時間を無駄にすることになるので、配置転換というケースはあってしかるべきだと思っています。事情は違うけど、実際僕の部下でも配置転換後のほうが活躍できてる人もいるし。
磯貝:部下を育てるにも方向性はさまざまあって、時には割り切るのも必要ということですね。特に今の私は、自分自身が時間的な余裕をなくしていることが漠然とした不安を解消できずにいる原因なので、おっしゃる通り後輩育成に関する時間の割き方は改めて考えないといけないと思いました。
松本:そうだね。言うまでもないですが、部下が育たなければマネージメントする時間を確保できないわけですから、現段階ではまず後輩育成に比重を置く体制を作ったほうがいいね。ただしさっき言ったように、単に時間をかければいいというわけでもないので、効果的な方法を見つけて部下を育てていってください。
磯貝:はい! ありがとうございます。なんだか自分の気持ちがきちんと整理されてスッキリしました。
松本:今回の相談は内容もシリアスだし、僕の経験に沿ってアドバイスしたところで解決できている気がしないんですけど。
磯貝:そんなことないです。先ほどおっしゃってた、「悩んでいる時点で、既に問題提起ができている」とか本当その通りだなって。松本さんの話を聞いて、ぼんやりと悩んでるばかりじゃなくて、まずは時間的な余裕をつくらないとダメだなってすごく思いました。
松本:そうだね。まぁ、磯貝さんは部署の内外問わず信頼が厚いんだし、これからも無理はせずに頑張ってほしいです。
磯貝:真剣にアドバイスくださって頭が上がらないです。 ありがとうございました!
正しいか間違いかは死ぬときにはじめて分かるもの
僕も同じマネージャーという立場なので、部署は違えどついつい熱が入ってしまいました。磯貝さんはまだ若く、枯れた僕と違って華と熱があるので、これからも「後輩をどう育成していくか」「業務の質をどう向上・維持していくか」とか色々思考錯誤すると思うんですよね。でも、何が正しいか間違っているかなんて結果を見るまで分からないもので、その結果から「間違っていた」ということになっても、次のステップで生かすことができるかもしれないってことを考えると、正しい・間違いなんて死ぬときになってはじめて分かるものといえるんです。強いて言うならば「何もしない」っていうことが間違いで、極論は何をやってもいいと思うんです。29歳とまだまだ若い彼女がそれを口にし始めたらちょっとひきますけど。だから引き続き色々悩んで試行錯誤してください!
とりあえず、相談後の表情が明るくなっていたので安心しました。だいぶやりがいを感じてきたので、第4回もバシバシお悩みを解決していきたいと思います!