【事例】オリエン完全無視!? それでも事業拡大までかなえたウエディング写真スタジオのPR
- 坂本和輝 | Kazuki Sakamoto
- 株式会社シグナル PRコンサルタント
こんにちは。PRコンサルタントの坂本です。
PR会社を利用するとき、「こういうイベントをやりたい」とPRの方法まで決めてから依頼したほうがいいと思っていませんか？
手段ありきのご相談を受けたとき、シグナルでは「PRの目的に本当に合っているか？」「他にもっといい方法はないか？」を考え、場合によってはオリエンとは方向性がまったく違うご提案をすることもあります。
その一例として、ロンドンバスを使ったイベントのご依頼がウエディングドレスのプロデュースに変わり、さらに新しい事業を生んだ事例をご紹介します。
「ロンドンバスを使ったイベントをしたい」その手段、目的に合ってますか？
ウエディング専門のフォトスタジオ「クレール」を運営するキャラット様は、問い合わせ件数アップのために何か目を引くイベントを開催したいと考えられていました。そこでシグナルにご相談いただいたのが、「ロンドンバスを借りて１週間くらいのイベントをしたいので、イベントの企画を提案してほしい」といった内容でした。
しかし、予算的に難しかったことに加えて、私は「ロンドンバスを見てフォトスタジオに問い合わせようと思ってもらえるだろうか？」という疑問を持っていました。また、単にロンドンバスを利用するだけではメディアに露出できそうにないとも感じていました。
私たちはPR会社ですから、イベントを企画するときにも、単なるイベントではなくPRの企画をします。当然このときも、「どういうイベントをするか？」ではなく、「どうしたら問い合わせ件数を増やせるのか？」「どうしたらメディアに取り上げてもらえるのか？」を考えました。
結果、ご提案したのは人気モデルの田中里奈さんによるウエディングドレスのプロデュース企画でした。田中里奈さんにドレスをプロデュースしてもらい、そのドレスが着られる撮影プランを用意することで、問い合わせ増加とメディア露出が両方かなうと考えたのです。
私がご提案したのは、当初のご相談とは遠くかけ離れた企画。よく採用していただけたものだと思いますが、キャラット様はこの企画を見て、「こんなことができるんだ！」と思ってくださったようです。こうしたクライアント様が思いつかなかったご提案をするのも、私たちの仕事です。
田中里奈ちゃんのドレスを着たいファンのため、レンタル事業がスタート
キャスティングした田中里奈さんについては、InstagramやTwitterのフォロワー数の多さも高く評価しましたが、結婚の噂がなかったことや他でウエディングドレスのプロデュース経験がなかったこと、そして29歳（当時）という年齢が決め手となりました。29歳という年齢は、フォトスタジオのメインターゲットと同世代。そして何より、「20代最後にウエディングドレスをプロデュース」というフレーズがパッと頭に浮かんだのです。
ただし、単にドレスをプロデュースしてもらうだけではメディアに露出するためのお披露目の場がありませんし、お披露目したとしてもウエディング系やファッション系のメディアにしか取り上げてもらえません。
そこで、メディア向け・一般向け合同のお披露目会を開くとともに、展示会としてドレスや、ドレスを着た田中里奈さんの写真をフォトスタジオで公開することにしました。こうすることで、お出かけ情報メディアへの露出も狙えますし、大勢いる田中里奈さんのファンの女性たちに興味を持ってもらえると思ったんです。
その結果、イベントの前後で約150媒体に露出することができました。さらに、もともとは田中里奈さんプロデュースのドレスがクレールで撮影する際に着られるという企画だったにもかかわらず、ファンの方たちが「里奈ちゃんのドレスで結婚式を挙げたい」とSNSでコメントしたことをきっかけに、キャラット様は新たにドレスのレンタル事業を始めることになったんです。この展開は私にも予想外でした。
正直、PR会社としてのプライドもありました
事業に直接関係のないロンドンバスのイベントから、ウエディングフォトに直結するドレスプロデュースへの変更。そこには、目的に合った方法をご提案したいという思いと、私たちはPR会社であり、PRで勝負したいという気持ちもありました。
「ドレスを着てバンジージャンプ」など、今考えるとばかげた案も出しましたが（ボツになりました）、きちんとPR会社としてのご提案をしたことで、結果として新たな事業の開始という予想以上の広がりが起きたPRとなりました。
【参考リンク】
・モデル田中里奈プロデュース ウェディングドレス『R couture（アールクチュール）』 お披露目&展示イベント実施！ 「エンパイアライン ドレス」を初公開！
